もうこのままでは生きていけない

37歳。女。主人は20歳年上。東洋の占い勉強中。

ゲームの話までたどりついてない

今週のお題「やり込んだゲーム」

最近はめっきりね、生きる屍タイムが長くなっているわたくしですけども、20代の初めごろは、
つまり大学生の時は、それはそれはエネルギーがあったわけ。

学生寮の狭い狭い部屋で、一晩中まんじりともせず、何を考えとったか忘れたけど、どうせロクなことじゃないけどね、なんせ悩んでたね。

悩んで悩んで明け方4時とかになって、これはもうあかん、今にも気が狂いそうや。
あかんあかん、盗んだバイクないのかな?
走り出さないと気が狂いそう。
ていうかすでに盗んだバイクは無いのか。
まず盗まないと。
盗みはしなくていいわ、走り出したいだけやから。
ということで、わらわらと寮を出て。
ああ本当は自転車があったらよかったけど、
自転車は2年前にパンクしたまま。
自転車屋のおっちゃんが感じ悪いから、直すの頼むの嫌で、直してないんやわ。
もう歩くしかない。歩くしかない。

ということで、古の都の古式ゆかしい町の中を、ずんずん歩いて、色んな寺を通りすぎ、住宅街に入り、突き当たりにぽっかりと森への入り口。
すでに時刻は朝の7時前。
完全にウォーカーズハイ。
入り口手前のお家から大音量で流れているのは、
おそらくベートーベン。
フラフラと森の方へ吸い込まれてしまう。
一歩踏み入れると、すうっと空気が冷えるのが分かる。
徹夜とハイでぼんやりとした頭のまま、奥へ奥へと入っていってしまう。
しばらくすると、ぶうんっという音とともに、虫が一匹、わたしの周りを回り出す。
地球をまわる月のように。
歩みを進めると、ぶうんっ、二匹目。
そのまま進んでいくと、ぶうんっ、三匹目。
このままでは、木星化してしまうのでは?

ていうか、森、一人、あぶない?

ゆるいカーブを抜けると、大きな倒木。
倒木の苔に降り注ぐ朝日。
空気中の何かに光がキラキラ当たっている。

あれ、ここは、人間が入っていいところなのかな?

そう思った瞬間、ぶんぶんぶんぶんぶんぶん、
一気に虫が10匹ほどになり、今までの倍のスピードで私を追い回す。
ごめんなさいごめんなさい、走って引き返すと、出口に近づくにつれて、虫は一匹、二匹とどんどん去っていく。
森を出て、住宅街のアスファルトを、とん、と踏んだ瞬間、最後の一匹が、ぶううんっと去っていった。

ああ、生きて帰ってきた。
我に返ると、まだ大音量で流れ続けているベートーベン。ほとんど曲は進んでないみたい。
なんだったんだろう。

日はすっかり高くなっている。
家は遠い。
そして君は徒歩だ。
どうするつもりなのかな?