もうこのままでは生きていけない

37歳。女。主人は20歳年上。東洋の占い勉強中。

まだまだ味がしている

1日目

12:30 入り組んだ海岸線の美しい島に到着

橋で繋がった小さな島。あまりに小さいので、車でウロウロしていたらすぐに島から出てしまった。ナビを使わないせいで。あっさりと宗旨替えしてナビ使用。

駅前の駐車場が無料という、お察しください、昭和は輝いていたであろう観光地です。

満腹の腹をこなそうと降り立ったものの、見るところは、あるのか…?

なんとなく港へ向かうと、観光船の案内あり。美しい海岸線の湾内を一周、約50分。

電光掲示板を見ると、「次の出航は、13時30分です」。

ここで1時間待ちか…今にも雨の降りそうな天気だし、どうしようねえ。

時間的には、14時半くらいに終わるから、ちょうどいいけどねえ。

などと相談していたら、絶妙のタイミングで物陰からおじさん登場。

長年の経験を感じる勧誘に、すぐに流される二人。

待ち時間にと、お勧めされた町の博物館に素直に向かう二人。

 

無料の博物館。ここの受付もシニア男性。案内係もシニア男性。

説明書きの物陰からまたシニア男性。「そこの窓からね、ベランダを一周できます。」

普段働かないシニアに手こずっている二人は感心。

この島のシニアは働くねえ。自分からお客さんに声をかけるなんて、やる気があるねえ。

途中で横切るお土産店でもシニア男性が接客中。

偉いなあこの島のシニアは。あいつら全員この島送りにしたろか?島流しちゃうか?

乗船。

甲板にある、偽物の舵?あの丸い、クルクルするやつね。

あれをですね、まあ一発やっとくわ、なんつって何気に回してみたらね、

いや思いの外、マジで操ってる感覚に襲われてね。

「船の進路に合わせてね、湾全体を広く見まわしながら、足を片方斜めに開くのがコツ!なあ、やってみ?一回やってみ?ほんとにさ、動かしとるみたいやよ!」

「恥ずかしいよ…」

ごもっとも。

 

船の上で景色を一切見ずに話し込んでいる高齢三人組。

耳をすませば、積立NISAと普通のNISAとIDECOと孫にあげるNISAの話。

あんたたち長生きするよ。

 

途中で地場産業の工場見学がある。

海に突き出したこじんまりした工場で、おばちゃんの実演説明。

飼い猫が当然のような顔でウロウロしている。

作業中のおばちゃんの膝にぐいぐい乗る。

観客とおばちゃんの間に割り込む。

おばちゃんは猫の存在をまったく無視して滔々と説明を続ける。

「さあ、それでね、一年経つと、出来上がるわけです。さあ、どうですか、何か質問ありますか、」

「猫ちゃんのお名前は??」

「恥ずかしいよ…」

ごもっとも。

 

さあ、たくさん恥をかいたらお腹がこなれたわ。

本日の宿に向かいましょう。コテージなので、夕食は自炊です。

何を買い込んで行こうね?