もうこのままでは生きていけない

37歳。女。主人は20歳年上。東洋の占い勉強中。

墓に行ったほうがいいのかな

夢の中で、
おばあちゃんはちょっとボケていて、
近所の人にとんちんかんな話をして、
ちょっと迷惑そうにされていた。
たまたま通りかかった私は、
おばあちゃん、行くよ、と声をかけた。
そしたら隣にお父さんがいた。

あれ、どうしたの。
おお、久しぶりやな。

話しながら家の方へ帰っていく。
お父さんは体型もあまり変わっていなかった。
そんなに老け込んでもいなくて安心した。

なあんや、帰ってきとるんやったら、
ご飯でも行けばよかったなあ、
とお父さんが言う。
うーん、でも今はご飯あかんもん、同居家族じゃないから。
そうか。俺はどうなってもええんやけどな。
あかんよ。肺が繊維化して、苦しいまま生きとらなあかんだらどうするの?

そうそう!だってさ、もしそうなったらさ…
後ろから妹が会話に参加する。
妹も今日は嬉しそうだ。
今日帰ってきたら突然お父さんおったでさ、びっくりした。とニコニコしながら妹が言う。
おう、俺もびっくりしたけど、お父さんやに、って言ってしまったわ、子どもに言うみたいに、
とお父さんが言う。
だって私ら子どもやもん?なあ?

お母さんはどこに行ったのかな?
まだ仕事かな?

近所の小さい方の公園の、裏の坂道で、
もう日がほとんど暮れて薄暗い中、
お母さんがキョロキョロしながら歩いている。

あっ。おったおった。お母さーん。
あーっ。皆おったん?
なんとなく、こっち来たらお母さんおるような気がした。
お母さんもそんな気がしたんさ。

お母さんは嬉しそうに私の手をとる。

もうお母さん今日はまた失敗してさ…

いつものように仕事で失敗した話をする。
なんや、お前アホやな、とお父さんが茶化す。
アホってなんなん、とお母さんが言い返す。
そうやに、ひどいよ、と妹が言う。
二人とも嬉しそうだ。

お父さん、今はどこに住んどるの?
たまにはこうやって帰ってきたら?

そう言おうと思ったら、
夢の中で目が覚めた。

ああ、夢でも嬉しかった。
夢でもお父さんに会えたからよかった。
本当はもっと生きてるお父さんに会いたかった。
泣きたかったけど、お母さんと妹に聞こえるといけないから、私は泣くのを我慢した。

そしたら本当に目が覚めて、
お父さんはとっくの昔に蒸発して死んだままだし、
わたしは一人暮らしの狭いベッドに寝ていたので、
遠慮なく大泣きした。