もうこのままでは生きていけない

37歳。女。主人は20歳年上。東洋の占い勉強中。

ちょっと生々しいのでお好みが分かれるかと思います

こんばんは、サバイブしてます?
この語りかけが、マジの意味を持つような世界線になるなんて、思いもよらないとは本当にこのこと。
サバイブしてますか?

会社の同僚が同居家族感染からの、本人も陽性、私には何もできないわけで、姉さん!(©️ホテル)

私は最後に会ったのが二週間前なので、少し安心したりして。
そんなに我が身がかわいいか!
しかしこれは人間の本能かもしれない。
言い訳したって自分を醜く感じたことは確かですな。

さあ同居家族感染の報を聞いた時点で、とりあえずデートは取りやめですわね。取りやめあきらです(©️粗品)。
彼の職場にも同居家族感染&なぜか遊びにくる&マスクをすぐ外す&めっちゃ咳する、
ちょっと今書いててめまいがするんやけど、
そういう客が来るらしく、
これでもし彼が感染しようもんなら、
私は本格的に他人を恨んだことは意外にも無いんですが、
これは生まれて初めて他人を呪ってしまうかもしれない。
彼がかからないようにお祈りするしかない。
はい、これまた自分と彼のことばっかり。
すでに感染している同僚の心配はどうした?
彼が感染してると思ったら、あんたどんだけ大騒ぎする?
心配やわって言っとったけど、この程度の心配なんて、心配してる内に入らないじゃない。
心のせまい女やな。
サンマリーノバチカン市国アンドラ公国

とにかく思いだけが千々に乱れたところで、
私には何も出来ることもなく。
シフトの穴を埋めたり、スタッフの乱れた人心に耳を傾けたり、客に八つ当たりされたり、ええいちくしょう、やってられっか!
はっ、いかんいかん。
出来ることをしよう。
ここはわたしに任せてちょうだい。
同僚が無事によくなりますように。

こうして信心深くなっていくわけ

2日目 10:30 国立公園内にある展望台

美しい海岸線を一望する展望台へ。

カフェもあり、映えスポットもあるらしい。

森の中、石が敷き詰められた、きれいに整備されたハイキングコースを歩いてみることに。

かなりの暑さだが、木陰に入ると涼しい。

看板には公園内の植物や、生息する動物の説明。

先ほど得たウグイスに関する知識がそのまま載っており、

イムリーさに喜ぶわたし。

 

彼はずっと足元に目をやっている。

「それはともかくさ、この実はなんなんやろうね?」

道を覆い隠すほどに、びっしりと落ちている、

赤いまん丸の木の実。

「これは、えーと、コケモモ?いや、なんやっけ?」

「なになに~?気になるなあ」

本当に気になる様子の彼。

こういう風に追求グセが出るのは大体わたしなのだが、

この実のなにがそんなに琴線にふれるのかしら。

「なんだろうなあ~なんかそんなの調べるアプリとかないのかなあ、写真撮ったら分かるみたいな…」

「あ~、あるね」

「あるの!?やって!なに~、あるの!言ってよ~」

どうしたのかしら、えらく本気だなあ。

ていうかアプリダウンロードするの面倒くさいなあ。

しぶしぶ検索するわたし。

「えーと、こういうやつかな?」

「とってとって!」

「うーん、でも無料のがないなあ~、30日後から料金発生しちゃう、」

「また解約して!とりあえずとって!」

無類のケチの私は腰が引けているのだが、あまりに彼が本気なのでダウンロード開始。

 

「わ~、そんなアプリあるんだなあ、やった~」

「あるけどさあ、そんなに…」

「楽しみだなあ、食べられるのかなあ」

「なに?食べたいから調べたいの!?」

「食べたーい!」

わたしが呆気にとられているところでダウンロード完了。

「食べ、食べたい…」

なおも何て言ったものか私が戸惑っていると、

二人の前方の木から、新しくポトリと一つ落ちてきた。

「きたきたきた!」

喜び勇んで拾い上げる彼。

「さあ!調べて!」

カメラで撮ると、あっという間に検索結果が表示される。

『ヤマモモ』

 

「すごーい。ヤマモモやって~、『梅雨頃に暗赤色の果実がなり、食べられますが日持ちが悪いため市場には流通せず、ジャムなどに加工して…』」

「食べられるんや!いくよ、いくよ、」

「えー、ほんとに食べるの?こわくない?」

彼はそーっと一口かじる。

「・・・うまーい!!!」

「えー?!」

「めっちゃおいしい!うまい!」

彼はゲラゲラ笑っている。差し出されて私も恐る恐る一口かじってみる。

「・・・うまい!!!」

それはそれは甘くて、ほとんど酸味もなくて、めっちゃジューシーで、なんじゃこりゃ、最近食べたフルーツの中で一番おいしいんですけど、

「なにこれ!めっちゃおいしいやん!」

「めっちゃおいしい!」

「ていうかさ、すごいタイミングで新しい実が落ちてきたよね。さすがに道に落ちとるのは食べれやんもんね」

「ほんとほんと、どうぞ~って感じやったよね」

「うま~」

「うま~。アプリすげ~」

「すげ~。うま~」

笑いが止まらなくなって、二人とも足がガクガクしながらハイキングコースを下っていく。

それからは景色そっちのけでアプリで遊びまくり。

「この花、すごいいい匂いがするって書いてあるよ!」

「ほんとや!すげー!」

「すげー!」

 

13:00 早々と帰路へ 途中の道の駅でお昼を買い込んでいく

15:00 帰宅 帰宅即遅いお昼ご飯 お昼ご飯即昼寝

19:00 ダラダラとテレビを見る

旅行中の活動時間短すぎるよね、寝すぎだよね、帰ってくるの早すぎるよね、と言いあいながらなんとなくクイズ番組を見る。

『問題です、この鳴き声はどちらでしょう』

『ホーー、ホケキョッ』

『A、ウグイス B、ホトトギス

「あーー!」

噓みたいな偶然に支配された、自然との触れ合いたっぷりのこの旅行、

やはり出発前の参拝の効果だと思っています。

神様どうもありがとう。

動物と触れ合っているようでそうでもない

2日目 7:00

この人たちはどれだけ寝るんだろう?

前日雨で使用できなかったウッドデッキへ。

椅子がまだやや濡れているのを、彼が拭いてくれる。

その間に、わたしは部屋にあったドリップコーヒーを入れる。

外でのコーヒータイム。

雨上がりで木々はたっぷり濡れている。

遠くにわずかに見える入り江が光っている。

鳥が鳴き交わしている。

「いい気持ちやねえ」

「外はいいなあ。こういうスペースほしいなあ」

 

ホーーーーー、ホケキョッ

 

「おー。上手やなあ~。なんやっけ?」

「ウグイス?」

ホトトギス?」

「どっちだ?」

さっそく調べてみると、ウグイス。

 

鳥の鳴き声がたくさん試聴できるサイトを発見し、いろいろと聞いていく。

ホトトギスは意外と印象に残らないねえ、ハトも街のハトと山のハトは違うんやね。

かっこうはマジかっこうやね!ということは?ハト時計はかっこう時計なのでは?

これがナイチンゲールかあ~、ねえ、ここでベートーベンの6番の二楽章聴いてみよう!

外の気持ちいい空気、今日もお休みだ、まだ朝だよ。

知識欲も満たされて、なんて気分がいいの。

へー、ウグイスでも、普段の会話の時はまた違う鳴き声なんやって。

さっきのやつは、縄張りが関係するんやって。

ウグイスの鳴き声も再生していると、谷の向こう側にいたウグイスが目の前の木にやってきた。

ホーーーーーー、ホケッ、ホーーーー、ホケキョッ!

「あ~、縄張り荒らしと思われた!」

「安心して!」

 

8:00 敷地内を散歩

それほど広くない敷地内に、十数棟のログハウスが立ち並んでいる。

ぐるりと一周して、敷地の裏手の方にある坂を下る。

少し鬱蒼とした道。

下りきったところにはドッグラン。

ペットと一緒にこういうところに滞在するのも気持ちいいだろうね。

引き返して坂を上っていくと、遠くに小さな影。

痩せた子どもの野良猫だ。

道のど真ん中でじっとこちらをうかがって動かない。

私たちが進むにしたがって、じわじわ近づく距離。

子猫の緊張感が私たちに伝染する。

思わず両手をパーにして上げる二人。

「何も持ってないのよ」「害はありません」

ふいっと立ち去る子猫。

「子猫といえども、野生の緊張感があったね」

「ほんとや~、猫であれやのに、熊やったらどうなるんやろう」

「圧倒的敗北やね」

「いっそ即死させてほしいな」

 

8:30 レストランで朝食

室内には私たちだけ。

テラス席には白人さんのご家族。

お父さん、お母さん、10代の娘さん二人。

足元にはゴールデンレトリバーがお利口に寝そべっている。

たまに尻尾をパタパタと動かし、頭を少し上げて、みんなの様子をうかがっている。

ご家族の向こうには美しいプール。

休憩用のチェアには、ご家族のものと思しきタオルや、文庫本が置いてある。

「絵になるねえ」

「またお利口さんのワンちゃんやねえ」

「見てよあの穏やかな顔」

「かといって、あの猫ちゃんを飼ってはあげられないんだよね」

「運命やねえ」

「わたしを野生に返したら、あっという間にあんな顔になるよ」

「怖」

 

10:00 チェックアウト

サービスでチェキを一枚撮ってもらう。

恥ずかしくて傾いて立ってしまう二人。

大満足で出発。

平屋がほしいのよ

1日目 18:00

昼寝から起きて晩ご飯タイム。

遠赤外線のホットプレートに初挑戦。

とにかくお世話を焼きたい派の彼は、きっきと焼きに入ってくれるが、

遠赤外線に戸惑い顔。

「・・・焼けてるの?」

「・・・焼けてるね。いい感じじゃない?ありがとう」

「ジュージュー言わないね」

「言わないね。これはサウナじゃないね。岩盤浴やね。しっかり芯から温まるんじゃない?どうせ女子はこんなんが好きなんやよ」

「焼けてるの?」

「焼けてるよ。例えのくだり聞いてた?」

 

手ごたえの無さにやや不満の二人。

それでも食は進み、酒も進み、彼はせっせと焼いて、久しぶりに酔った私は、

いつも通りに演説タイムに入る。

 

「そういうわけでね、抑圧されてるの!抑圧!やりたいな~とか、言いたいな~ってことをね、全部やってないの!」

「はいはい~かわいそうに~」

「だからね!たとえばね!」

と叫んで、らせん階段へ。階段の脇の方の、登る所じゃないところから、無理矢理ジャングルジムのようによじ登るわたし。

酒も入っているので、ぜえぜえ息が切れている。

「・・・こういうことを、全然してないの!」

「それはしないよ」

「我慢してんの!正論ぶちかまして、抑圧してくるの!『やっぱり~、炭とかだと~、油がはねちゃうし~、煙もすっごい出ちゃって、部屋にも匂いがついちゃうでしょ?後片付けもたいへんだよね?こっちの方が、洗い物も洗剤が少なくて済むし~、さっぱり食べられて、ヘルシーだよね』」

「誰なの?」

「遠赤女子だよ!」

エネルギー切れにつき21時ごろ就寝。

 

2日目 2:00 4:00 5:00

ベットは2階、トイレは1階。

「住めないね」「だね」

 

それからそれから

1日目 14:40 スーパー

悩んだ末、地元民の方が使う普通のスーパーへ。

今日泊まるのは、一棟貸しのログハウス。

夜は自炊。

バーベキュー出来るところも検討したけど、梅雨だしね。

雨の予報だったし、ピンとくる施設も発見できなかったし。

ログハウスのかわいいキッチンで、ラブラブクッキングといきますか!

と、話してたのに、バーベキューの残像が拭いきれなくて、

バーベキューっぽい食材を買ってしまった二人。

焼肉用牛肉、鶏肉、大あさり。

「あれ?」「あれ?」

「どうやって焼くの?」「あれ?」

 

15:00 チェックイン

フロントで遠赤外線グリルなるものの貸し出しを発見して、よしよし。

受付の女の子が一生懸命でしみじみ。

「あの子はがんばるねえ~」

「引き抜きたいねえ~」

二階建てのログハウス。

大喜びで一通り見て回る。

「やっぱり平屋がいいね」「それな」

50代と30代の二人はすでにHPが残りわずか。

速攻でお風呂に入り、速攻で昼寝。

爆睡の予感。

夕ご飯は何時になるのやら。

 

 

2021年6月から7月は

いいですか?

何年も調子の悪かった人間が、

たかが数か月、明るい気分の日が多くなったところで、

油断してはいけません。

根本的に、人間に対する認知が歪んでいるんですから。

 

わたしの話は誰も聞いていない。

わたしが何を言ってもムダ。

思うようになることは何もない。

生まれた以上は死ぬまで生きているしか仕方ない。

 

そういうね、誤った、誤っとるかどうか知らんけど、

世界への理解のあり方っつうの?

悲しい人生訓っつうの?

それは根深いものがあるの。

非常に根深いものがあるっっ!(Ⓒ水曜どうでしょう

 

だから、毎朝毎朝、新鮮に世界は恐ろしい。

朝起きることに慣れていない。

35年経っても?

朝起きて、支度をして、外界と関わっていくことが、

毎朝初めてのように恐ろしくて、

行きたくない行きたくない。

幼稚園行きたくない。

おうちにいる。

おうちでいい子でお留守番できるよ。

 

そういう訴えを聞いているようないないような。

わたしの話を私は話半分に聞き流して。

化粧をし、インスタで見たヘアアレンジなど施して、

スマホ持って、ハンカチ持って、エアコン消して、

さあ玄関で靴を履くと、

この息苦しさはどうしたの。

 

玄関で靴履きざまに胸ふさぐ足に昨日の記憶あるらし

 

 

 

まだまだ味がしている

1日目

12:30 入り組んだ海岸線の美しい島に到着

橋で繋がった小さな島。あまりに小さいので、車でウロウロしていたらすぐに島から出てしまった。ナビを使わないせいで。あっさりと宗旨替えしてナビ使用。

駅前の駐車場が無料という、お察しください、昭和は輝いていたであろう観光地です。

満腹の腹をこなそうと降り立ったものの、見るところは、あるのか…?

なんとなく港へ向かうと、観光船の案内あり。美しい海岸線の湾内を一周、約50分。

電光掲示板を見ると、「次の出航は、13時30分です」。

ここで1時間待ちか…今にも雨の降りそうな天気だし、どうしようねえ。

時間的には、14時半くらいに終わるから、ちょうどいいけどねえ。

などと相談していたら、絶妙のタイミングで物陰からおじさん登場。

長年の経験を感じる勧誘に、すぐに流される二人。

待ち時間にと、お勧めされた町の博物館に素直に向かう二人。

 

無料の博物館。ここの受付もシニア男性。案内係もシニア男性。

説明書きの物陰からまたシニア男性。「そこの窓からね、ベランダを一周できます。」

普段働かないシニアに手こずっている二人は感心。

この島のシニアは働くねえ。自分からお客さんに声をかけるなんて、やる気があるねえ。

途中で横切るお土産店でもシニア男性が接客中。

偉いなあこの島のシニアは。あいつら全員この島送りにしたろか?島流しちゃうか?

乗船。

甲板にある、偽物の舵?あの丸い、クルクルするやつね。

あれをですね、まあ一発やっとくわ、なんつって何気に回してみたらね、

いや思いの外、マジで操ってる感覚に襲われてね。

「船の進路に合わせてね、湾全体を広く見まわしながら、足を片方斜めに開くのがコツ!なあ、やってみ?一回やってみ?ほんとにさ、動かしとるみたいやよ!」

「恥ずかしいよ…」

ごもっとも。

 

船の上で景色を一切見ずに話し込んでいる高齢三人組。

耳をすませば、積立NISAと普通のNISAとIDECOと孫にあげるNISAの話。

あんたたち長生きするよ。

 

途中で地場産業の工場見学がある。

海に突き出したこじんまりした工場で、おばちゃんの実演説明。

飼い猫が当然のような顔でウロウロしている。

作業中のおばちゃんの膝にぐいぐい乗る。

観客とおばちゃんの間に割り込む。

おばちゃんは猫の存在をまったく無視して滔々と説明を続ける。

「さあ、それでね、一年経つと、出来上がるわけです。さあ、どうですか、何か質問ありますか、」

「猫ちゃんのお名前は??」

「恥ずかしいよ…」

ごもっとも。

 

さあ、たくさん恥をかいたらお腹がこなれたわ。

本日の宿に向かいましょう。コテージなので、夕食は自炊です。

何を買い込んで行こうね?